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- 2008/05/13(Tue) -
月花さんの天使とお茶会 第6夜です。

今までのお茶会はこちらからどうぞ。全てを遡って読むことができます。

興味のない方はスルーでどうぞ。^^



ここからが第6夜です。


「ありがとう、あなたのお陰で世界樹は護られましたよ。」
ウリエルの抱擁を、あなたは静かに受け止めました。
それに、とウリエルは続けます。
「闇の門が甦りました。」
そう言って、世界樹の根元を指差します。
そこには、人一人通れる大きさの穴がぽっかりと開いていました。

「闇の門?」
聞き返すと、ウリエルは頷きました。
穴は、地下へと降りていく階段になっているようでした。

「かつて、遥か遠い昔……もとは一つだった光と闇が、分かたれました。
そしていつしか人は、闇を恐れるようになったのです。
闇の神性は堕とされ、徐々に闇へと通じる道はふさがれていきました。
その道が、あなたのお陰でまた開いたのですよ。」

ウリエルは、そっとあなたから離れました。
「さぁ、お行きなさい、人の子よ。あなたの旅路に神のご加護があらんことを。」
そう言って、天使は柔らかく笑いました。


階段を降りるにつれて、辺りは光りの届かない真っ暗な世界になりました。
ウリエルのくれた松明が、唯一の灯りです。
最初は土壁でしたが、いつしか壁は石造りになっていました。
階段は緩やかにカーブを描き続け、どうやら螺旋階段を降りているようでした。


今まではこうゆう時にはいつもコニーがいてくれたのに・・・。

また胸の奥の方がズキズキ痛み出します。

暗さに隠れて、またたくさん涙を流しながら、それでも一歩一歩下へ降りてゆきました。


どれほど降りたのでしょう。
あなたは、踊り場に出ました。
そして、古めかしい木の扉があるのに気付きました。
その扉には、鍵はかかっていませんでした。
押すと、容易に開いていきます。


扉の向こうは、夜の草原でした。
空には青い星が瞬き、天の川がひそやかに煌めいています。
草原には、様々な花が咲き乱れていました。
中にはまるで蛍のように淡く発光している不思議な花もありました。

その花畑をどれほど歩いたのでしょう。
天使があなたの前に現われました。
「いらっしゃい、人の子よ。よくぞ地の花園にまで降りてこられましたね。」


蛍のように発光する花と同じような天使でした。

背が高く、羽は・・・非常に大きい。やっぱり発光しています。

切れ長の目は、優しさの中にも影のある・・・どこか寂しそうな印象があります。

動きもゆっくりと・・・そしてそっとささやくようにお話されます。

「久しぶりの客人なのですよ。どうぞゆっくりしていってくださいね。」

「あなたはずっとここに??」

「はい。」

天使はにこやかに言うと、道案内をしてくれました。
しばらく行くと花畑を一望できる小高い場所に来ました。
テーブルと椅子が用意されて、小さなエンジェルたちがお茶の準備をしていました。
勧められるままに椅子に座ると、天使はあなたにむかい言いました。
「私の名はレミエルです。この地の花園を守っているものです。」それからあなたとレミエルは他愛のない会話をしました。


「いつからここにいるのですか??」

「そうだなぁ~。もうわすれてしまったくらい前ですね」

「一人で?」

「一人で」

「寂しくありませんか?? 一人ぼっちはこたえますよね??」

「そうですね。」

「あ!ごめんなさい。」

「いいんですよ。」

レミエルは怒った風でもなく、優しく笑いました。





どうしても、どうしても、コニーのことばかりを考えてしまう。

胸が痛い。胸が苦しい。呼吸がしづらくなる。

「大丈夫ですか?? 顔色が悪い」

「大丈夫です。一人ぼっちは辛いものだと。それを思うと胸が苦しくなるのです。」

「一人ぼっちなのですか?」

「はい。レミエルもでしょう??」

「いいえ。私は一人ぼっちではありませんよ。」

「え??」

「ここには花々や、草木がいます。それに、私の友人たちも、私の心の中にちゃんといますから」



ズキッ。




友人という言葉に、痛みを覚える。

「見せてみて」

そういうと、レミエルは私に近づき、痛む胸を押さえている私の手をどけていった

「ここ・・・。ここが痛みますか??」

「はい。」

レミエルがそこへ手をかざすと痛みがす~~っと引いていく。

「よ~~く 見て」

言われるまま胸の方を見ると、蛍の花のように胸の所に丸く青白く光るものが・・・。

「わかるかい??」

「わかる!! わかります。 これは私の友人です。」

「そのようだね。あなたを心配している。」

「あなたの中に、このお友達はちゃんと生きている。それを信じなさい。」

ぽっと光るその丸いものは、何故だかすごく暖かくて、レミエルの言葉を受け入れられる気分になる。

「ここに・・・いるんですね。私の中に。」

「そうです。あなたはひとりぼっちなんかじゃない。」



お茶が終わると、あなたはレミエルとともに来た道を戻り始めました。
すると、上空から何かが降ってきました。
最初は流れ星のように小さな光だったそれは、次第に明るさを増してあなたの前に静かに降り立ちました。
光が消えると、傷ついた天使が横たわっていました。
羽は折れ、体の傷からはおびただしい血が流れています。

その様子を見て、レミエルが眉をひそめました。
「邪と戦ったのですか?」
レミエルの問いに、天使は黙って頷きます。
「こんなになるまで傷ついて……それでも、あなたは人を護りたいのですね。」
続けてレミエルが言うのに、天使はまたも頷きます。
「この身はどうなってもいい。ただ私は人を救いたいのです」
天使は静かに言いました。

レミエルが、振り返ってあなたを見ました。
「この天使(ひと)を癒してくれませんか。大丈夫、あなたになら出来ますよ。」
驚くあなたに、レミエルは更に畳み掛けます。
「私がサポートしますから。ね?」
戸惑いながらも、あなたは「やってみる」と答えました。


私は、それを行おうとしたときに、何故だか

「私はやり方を知っている」

そんな風に思いながら、コニーのことを思った。

コニー 私に力を貸して・・・・。


「怖がらなくてもいいですよ。
あなたはただ大いなる力の源から、彼に力を送ればいい。
力を伝えるパイプになるのです。
【癒し】とは、誰かが誰かに施すものではありません。
傷ついた者は、本来は自分で自分を癒す力を持っています。
その力を、あなたが少し後押しするだけです。」



私は、私自身をしっかりと大地に根ざし、そしてそのまま天へ向かって両手を広げた。

世界樹の樹から、まばゆい光が私に降り注いでくる。

十分その光を受け取り、そして、その光の帯をそのまま傷ついた天使へ送れるよう
両手を、天使の上にかざした。

光の帯が霧状の光の粒となって天使のうえをやさしいヴェールで包むように
しっかりと覆いつくしだす。
その光は、金色からピンク色の混ざったものになり、傷ついた天使の体を
まばゆいほどに包んでいく。

私は、パイプ役となり、同じように光の中にただただ浮かんでいた。

ふと・・・我に返ると、傷ついていたはずの天使が立ち上がり私のほうを見て微笑んでいる。


レミエルは、あなたに微笑みかけました。
「忘れないでください、あなたには世界を救う力がある。
それはけして大げさでも誇大妄想でもありません。事実なのですよ。」


「レミエル、私の友人が・・・世界樹が力を貸してくれました。
 私はただ、その力を届けただけです。」

「それでいいのです。」

そういって、レミエルは満足げに微笑んでくれた。

力を取り戻した天使は、凛とした眼差しであなたを見ました。
そして恭しくあなたに頭を下げました。


「ありがとう。人の子よ。あなたの悲しみも私は理解します。

 あなたは精一杯やったのです。そして前を向いて歩く力を持っている。

 あなたの中の生命力が、私をよみがえらせてくれました。

 困ったことがあったらいつでも私を呼んでください。いつでもかけつけますから。

 あなたのこれからの旅が 大いなるものでありますように。」


二人の天使に見送られて、あなたは再び木の扉の前に立ちました。
彼らとお別れのハグをしてから、あなたは階段を降りはじめました。

《第六夜・終》
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