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月花さんの天使とお茶会 第五夜 その二
- 2008/05/13(Tue) -
コニーは、竜を助けてくれって言ってた・・・でも・・でも・・・

私にそんな力などない。

コニーがそばにいないなんて・・・私をかばって死んじゃうなんて・・・。

もうどこにも力が残っていない。。。。





私の様子を胡散臭く見ていた竜は、やっぱり怒りの形相を変えずに私をコニーともども

踏み潰そうと大きく足を振り上げました。




「コニーは死んだ。私も死ぬ。残されるこのあわれな竜。」

そう思いながらも体は動かずに、私は口ずさんでいた。

そう。 それは子守唄だった。

子どもの頃によく聞いた。子守唄だった。

私のよく知らない言葉なのに、すらすらと口をついて出てくる。

ささやくように、ささやくように唄っていた。

コニーの魂が安らかに眠れるように・・・。

私もコニーのそばに行かれるように・・・。

そしてこの哀れな竜の痛みもやわらぐように・・・。






辺りはシーーーーン  として、私の小さく口ずさむ子守唄だけがむなしく響きます。



時が止まったようでした。
全てがしんと静まりかえり、まるでこの世にはあなたと竜しかいないようでした。
爪が、体を切り裂くのを遠く感じました。
痛みはありませんでした。

竜は、呆然としているようでした。
爪についた、あなたの血を食い入るように見詰めています。
うろたえているようでした。驚いているようでした。
どれほど時が経ったのでしょう。
赤い目から、ぱたぱたと何かが落ちていきます。
泣いているのだ、とあなたは薄れゆく意識の中思いました。
黒い鱗が、白く光ります。
竜の体から、まるで光が生まれていくようでした。
悲しい悲しい泣き声をあげながら、竜は光の中消えていきました。
そして、あなたの記憶もまたその光に飲まれていきました。


「どうして??どうして そんな痛みを抱えてしまったの??

  ここにおいで抱きしめてあげるから。もっと唄ってあげるから」


目を開けて、一番最初に目に飛びこんできたのは見知らぬ天井でした。
ここはどこだろう。
自分は死んだのかな。
ぼーっとそんなことを考えていると、覗き込んでくる人物がいました。
背中に羽の生えたその天使は、あなたが目覚めた事に気付くと優しく微笑みました。
「やっと目が覚めたようですね、よかった」

天使は、ウリエルと名乗りました。
戦の波動を感じて島を訪れ、倒れているあなたを見つけて介抱してくれたのです。
「死んだと思ったのに。」
そう呟くあなたに、ウリエルは言います。
「あなたの中に、異なる命を感じます。
その命があなたを生きながらえさせたのですよ。
黒い竜と、もう一つ、あなたにごく近しい命のようです。」
分かるでしょう?といいながら、ウリエルはあなたの胸を指差します。
二つの淡い光があなたの胸元で微かに光っていました。
その光は、静かにあなたの体に吸い込まれていきました。


怪我が癒えたあなたを、ある日ウリエルは島まで連れてきてくれました。
世界樹は甦っていました。
幹の傷痕は無残に口を開けていたけれど、それでも新たな命をつないでいました。
銀色の花が枝という枝を飾り、見事に咲き誇っていました。

「ありがとう、あなたのお陰で世界樹は護られましたよ。」


「コニーが死んでしまった。私が死ぬべきだったのに・・・。世界樹のために死ぬべきなのは私の方なのに!!」


「コニーは、あなたに生きてほしかったのですよ。あなたがコニーに生き残ってほしかったと思うのと同じ理由で。過去は変えられません。とても悲しいことですが。それでも、あなたは生きています。コニーの分まで生きなければ。コニーの望むことは、あなたが生きることです。」

「コニーは、最後に生きろといいました。そして竜を助けてくれとも。私は竜を救えなかった」

「竜は今はこころ穏やかにあなたの中にいます。大丈夫ですよ。今は穏やかなのです。」

大粒の涙がこぼれた。

はじめて、はじめて涙がこぼれた。

大きな声で、子供のように泣く私をウリエルはやさしく、抱きしめてくれた。

「泣きなさい。やっと涙が出るようになったのですよ。

 ようやくコニーの死を認めてくれましたね。コニーは死んでしまっても

 あなたの中にしっかりとコニーが生きた証があるでしょう??」



わああああ~~!!!!

ウリエルにしっかりとしがみついて泣いた。

涙が止まるまで、ウリエルはず~~~っと抱きしめていてくれた。



私が落ち着くとウリエルは言った。
「闇の門が甦りました。」
そう言って、世界樹の根元を指差します。
そこには、人一人通れる大きさの穴がぽっかりと開いていました。

《第五夜・終》
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